おうち英語をしていると「発音はどうすればいいの?」「子どもに練習させた方がいいの?」と気になる人は多いと思う。私自身もそう感じていたけれど、今は子どもに発音練習を強制する必要はないと考えている。むしろ大事なのは、親の発声だと思う。
親の発声がカギになる理由
「mother tongue」という言葉があるくらい、母親(親)の声は特別。テレビやスピーカーから流れる音より、肉声の英語は子どもに強い影響を与える。
完璧でなくても、「誰が聞いても英語だ」と分かる程度で十分。特に幼少期のインプットは、英語を「音の羅列」ではなく「言語」として認識させるきっかけになる。
研究でも、幼児期に親や周囲の人がどれだけ声をかけるかが、その後の語彙力や言語処理能力に影響することが分かっている(Weisleder & Fernald, 2013)。
日本語と英語の発声の違い
日本語と英語では、声の出し方に大きな違いがある。
- 日本語は低めの周波数帯(125〜1,500Hz中心)
- 英語は高い周波数帯(2,000Hz以上)や摩擦音・破裂音を多用する
- 息の量も英語の方が圧倒的に多い
私も最初は英語特有の周波数を真似しようとしたけれど、うまくいかなかった。ただ「息をしっかり吹き込んで声を出す」ことを意識するだけで、だいぶ英語らしく聞こえるようになった。
私がやった練習法
私は絵本を使って、半年ほど発声練習を続けていた。方法はシンプルで、その日ひとつの音をテーマにする。
- 「今日はTの日」と決めたら、ティヒーと息を吹き込んでTの音を意識
- 「今日はaの日」なら、日本語の「あ」ではなく「ae」で声を出す
- 一文を高速で読み進め、その中でテーマの音だけは完璧に
- 少しずつできる音を増やしていく積み上げ式
半年続けた結果、会社の偉い人から「発音ならスマイスさんがピカイチだよね」と言われたことがある。私の勤め先は典型的な日本企業で英語を使う場面は少ないが、それでも「誰が聞いても英語だ」と分かる発声にはなったのだと思う。
練習の参考にしたリソース
- ダイジローさんのYouTube動画をかなり見て、練習の参考にした。日本人が苦手な音の出し方を細かく解説してくれるので、親が自分で発声を研究するのに役立った。
- 発音判定アプリやサイト(BoldVoice Accent Oracle、英語発音アプリ道場など)も試すと面白い。ただし、あくまで親が補助的に使うツール。
- NativeCamp の発音コースも受けてみた。張り合いが欲しい時の気分転換にはなるけれど、内容は文章を素早く読む練習が中心で、きめ細かい発音指導ではなかった。私は結局、YouTubeで研究する方が身についた感覚がある。
子どもに発音練習は強制しなくていい
小学生なら、話す機会と聞く機会を増やすだけで発音は自然に身につく。幼少期は「親の肉声」が最大の環境要因。発音矯正は不要で、むしろ親が楽しんで声に出すことが大切だと思う。
ウェルニッケ野の研究からも、幼児期の音声環境がその後の言語理解に大きく関わるとされている(Skeide, 2023)。
まとめ
- 発音は「子どもに練習させる」より「親が意識する」方が効果的
- 幼少期に肉声で届けられる英語が、子どもを「英語は言語だ」と認識させる
- 完璧でなくてもいい。大事なのは、声に出して届けること
出典
- Weisleder, A., & Fernald, A. (2013). Talking to children matters: Early language experience strengthens processing and builds vocabulary. PNAS.
- Skeide, M. A. (2023). From Sound to Meaning: Navigating Wernicke’s Area in Language. Brain Sciences.
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